データ
モデル名:ボールドウィン モデル名 SD-10(274㎝)
製造年:1980年製
製造国:アメリカ シンシナティ製
張弦方法:通常張弦
フロント側:低音部~中音部 アグラフ、高音部 特殊アッパーブリッジ
ピン仕様:総鉄骨
アクション仕様:エルツ式ダブルスプリングアクション
ペダル:3本
鍵盤:88鍵(白鍵:象牙 黒鍵:黒檀)
外装:黒半艶(オリジナル外装)
今回の収録はピアノマニアの友人の所有楽器ボールドウィンのフルコンサートピアノSD-10でした。ボールドウィンのフルコンサートは日本に2台しか無いようです。日本ではアメリカピアノはニューヨークスタインウェイ以外ほとんど出会うことがありません。20世紀初頭にはアメリカに数多くのメーカーが存在しヨーロッパメーカーに負けず劣らずの品質の楽器を作っていました。今回取り上げるボールドウィンも生粋のアメリカピアノとして昔から非常に人気のあるメーカーでした。
さぁまず弾いてみた印象はとんでもない『じゃじゃ馬』の様相です、正にアメリカンと言った感じの豪快さ。まるでハイパワーなアメリカンマッスルカーのようで普段弾いてるスタインウェイのフルコンサートが大人しく感じる程の豪快な鳴りと明るさです。多くのピアノを弾いている自分でも普段弾くヨーロッパや日本のピアノとのあまりに違う性格に慣れるのにそれなりの時間がかかりました。慣れてくると存外弱音側の表現幅もあり面白く演奏できました。しかし、調整の方向性にも依りますが音の性格がとにかく華やかで明るく元気なので曲による相性が強く出る印象です。個人的にこのピアノで陰鬱なロシア音楽を弾くのは難しそうです(笑)
アクションは軽めでオーソドックスな弾き心地、やはり鍵盤長があるフルコンサートは弾きやすいです。
総評としては非常にアメリカらしい豪快なピアノでした、コンサートホールで弾いたら全然違う印象を持ちそうです。スタインウェイとは違うアメリカ生まれアメリカ育ちの生粋のアメリカピアノ楽しませてもらいました。
前側に倒れる譜面台と黒の半艶塗装がいかにもアメリカピアノらしい。
ピンが5セクションに分けられたフレーム。フレーム自体の構造もスタインウェイの影響が見てとれる。
ボールドウィンの高音部にはカポダストロバーではなく特殊なアッパーブリッジを採用している。それぞれのアッパーブリッジがフレームに固定されておりアグラフとカポダストロバーの中間的な役割を担っている。
非常に特徴的なヒッチピン(弦を引っ掛け折り返す用のピン)。ボールドウィンは弦が浮いている。これによりデュープレックススケールと同じ効果を生み出している。
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