【《ピアノを聴く動画》使用ピアノ紹介】第25回イースタイン アップライトピアノ(最後のイースタイン)
- 西野 智也
- 2019年12月18日
- 読了時間: 3分
更新日:2020年10月13日
データ
モデル名:イースタイン(最後のイースタイン) モデル名 U型(134㎝)
製造年:1990年製
製造国:日本 宇都宮製
張弦方法:通常張弦
フロント側:低音部 ベアリング 中音~高音部 プレッシャーバー
ピン仕様:総鉄骨
アクション仕様:イギリス式アクション
ペダル:3本
鍵盤:88鍵(白鍵:アクリル 黒鍵:樹脂)
外装:黒艶(オリジナル外装)
今回は第3回以来のイースタインを収録してきました。イースタインのアップライトを収録するにあたって当初から水戸の平山ピアノ社が大事に保管している『最後のイースタイン』を録ろうと決めていました。
国産最高峰のイースタイン、その最後の一台であるこのU型。そんな特別な一台が製造された1990年の姿をそのままに大事に保存されています。
U型はイースタインのエントリーモデルであり創業時一番最初に製造され最後に製造されたモデルになります。エントリーモデルですが最高級品と材料や手間では一切妥協せずに作られています違いは値段と設計だけです。イースタインは非常に面白いメーカーで当時の有力な技術者達からアドヴァイスを受けては新型モデルを作っていました、なので同一メーカーでもモデルによって見た目が全く違うし音も様々なものがあります。
さて前置きが長くなりましたがこのU型、製造から30年近く経っていますがまるで新品のような趣です、音が非常に若く瑞々しさがあります。非常に素直で鳴りも申し分なし、若干硬質な音ですが響板がしっかり鳴っているピアノの音です。今現在の国産アップライトピアノでは残念ながらこのクオリティのものはありませんね、特にエントリーモデルでは到底楽器とは言えないようなものしかありません。
アクションは少し手を入れていてくれたようで快調そのものでした。ここ平山ピアノ社は日本で一番イースタインを熟知しているお店だけありツボを押さえた整音と整調がなされていました。
かつて日本にもこういった職人の魂を感じることが出来る本物のアップライトピアノがあったということをもっと多くの方に知ってもらいたいと切に思います。

まるで1990年からタイムスリップしてきたかのような一台。非売品として大事に保管されている。

中身も新品同様。モデル名のU型は宇都宮の頭文字から取られている。設計自体はいたってオーソドックスなもの。

響板は当時の国産ピアノの定番エゾ松。エントリーモデルのU型から最上級のB型まで全て共通エントリーモデルだからといって一切の妥協は無い。そしてこのピアノを作ったイースタインの職人さんたちのサインが入れられている。左の柱に書かれている『響一郎』のサインは平山ピアノ社の2代目平山響一郎氏のものである

このピアノが最後のイースタインである証。現在も水戸の平山ピアノ社で見ることが出来る。
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