データ
モデル名:プレイエル モデル名3bis(164cm)
製造年:1924年頃
製造国:フランス パリ製
張弦方法:総一本張り
フロント側:低音~次高音 アグラフ、高音部 カポダストロバー
ピン仕様:オープンフレーム
アクション仕様:プレイエル製ダブルエスケープメントアクション
ペダル:2本
鍵盤:85鍵(白鍵: 象牙 黒鍵: 黒檀 )
外装:ローズウッド(オイルフィニッシュ再塗装)
前回の第31回に引き続きカフェプレイエルさんの看板楽器プレイエルをご紹介します。
前回訪問時に衝撃的な音色によって自分を一発で虜にしてしまったエラールとは違い正直なところプレイエルのファーストインプレッションは今一つな印象がありました。なので今回はエラールを収録して時間が余ればプレイエルもついでに録らせてもらう予定でお伺いさせていただいていました。
というのもこのプレイエルは以前修復時にダンパーペダルのスプリングがとてつもなくテンションの高いものに変えられておりとてもペダルが重く操作性が最悪で使えたものではなかったのです。
ところがオーナー曰く『去年コンサートをしたピアニストさんに指摘されてだましだまし使っていましたがようやく交換をしました。』とのことです。ペダルのバネ一個でこんなにも変わるかという程音と弾き心地が改善されており喜び勇んで【ピアノを聴く動画】の収録へとなりました。
早速楽器のインプレッションですがやはりプレイエル、以前の『アトリエミストラル』さん所蔵の楽器同様非常にピュアで清涼感たっぷりの音色。プレイエル独自のアクションはとても決め細やかで演奏者のタッチを繊細に拾い上げてくれます。特にトリルへの反応が格別に良くいくらでも美しく速く入れられると感じるほどです。
外装についても流石のフランスピアノ一切の妥協がありません。隣に置いてあるエラールが凄すぎて一見地味に見えてしまいますがさりげない象篏や五角形のケースに6本の装飾脚とこちらも品の良い装飾で見た目も美しい一台です。
あっという間の3時間でエラールとプレイエル全く個性の異なる2台を非常に楽しく堪能させていただきました。
オイルで磨かれた濃い目の茶色い杢目が美しい一台。もともとは隣のエラールに近い明るいローズウッドだったようですが修復時に現在の色味に変更したようです。2台並ぶと引き締まって見えてお互いがお互いの美しさを際立たせます。
プレイエルのピン周りの部分。旧式ピアノ然としたオープンフレームと総一本張りがこの時期のプレイエルの特徴。型番が数字からアルファベットへと変わる戦後型は意匠が変わって更にモダンな設計へと変更されている。
五角形型のユニークなケース。象嵌に美しい装飾脚と見た目でも妥協が無いのがフランスピアノ。光が当たると美しい木目が見えてくる。
井桁に組まれた支柱。左側に見えるペダルの固定金具が非常に華奢なのが分かる。これによりペダルに若干のしなりを持たせて繊細なコントロール性を獲得している。これは現代ピアノの堅牢なペダルとは真逆の思想であるが故にプレイエルを弾く際に体重をかけるような乱暴なペダル操作はこの部分が折れるのでご法度である。
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