データ
モデル名:ベヒシュタイン モデル名model.8(128cm)
製造年:1924年製
製造国:ドイツ ベルリン製
張弦方法:一本張りと通常張弦の組み合わせ
フロント側:総アグラフ
ピン仕様:オープンフレーム
アクション仕様:連結式イギリス式アクション
ペダル:2本
鍵盤:88鍵(白鍵: 象牙 黒鍵:黒檀 )
外装:ローズウッド外装
動画URL:https://youtu.be/NoL4uUyAw08 (2021年3月3日公開)
今回は個人蔵の戦前のベヒシュタインのアップライトを収録してきました。
現代ではコンサート8といわれるベヒシュタインのアップライトのフラッグシップモデルとして君臨しているモデルの基になっている8型になります。現代では最上位機種ではありますがこの楽器が作られていた時代は中型の普及モデルとして位置づけられていました。
普及モデルといっても黄金期のベヒシュタイン流石の完成度になっています。まず第一印象は非常に美しい木目の外装と控え目な装飾が目に入りました。外装はかなりオリジナルに近い印象でしたがオリジナルの収納型の折り畳み譜面台が鍵盤蓋の通常譜面台に改造されていました。中身のメカ部分はしっかり修復されており弾き心地も申し分なし。
弾いてみた第一印象はベヒシュタインらしい立体感があり不快な音の混ざり方がしないどこまでも美しく広がりがあります。
高音域は特にベヒシュタインらしい音を味わうことができこの妖艶で立体的な音の響かせ方は他のメーカーでは絶対に味わうことができません。そして低音側はドイツピアノらしい太さを持ちつつも他のドイツピアノとは違って音のコクが少なく透明感が多くここでもベヒシュタインらしさを存分に感じることが出来ます。
アクションも消耗部品は交換されているもののオリジナルに近く非常に軽く音の性質と相まって非常に軽快な弾き心地になっています。
非常に程度の良い黄金期のベヒシュタインを存分に楽しませていただきました。
現代のコンサート8の前身である8型。128㎝の全高は現代では大型アップライトだがこの時代は中型である。これより大きい138㎝の7型が存在した。
フランスピアノの様な凝った装飾ではないが木の本来の木目を生かしたかなり美しい外装。
アクションレールが木製なのが少し古い印象を与える。アクションも隠れてはいるが下は鍵盤と一体型の旧式タイプ。
ベヒシュタインのアイデンティティであるオープンフレームと総アグラフ。このフォルテピアノ時代の設計がベヒシュタイン特有の音作りに一役買っている。
1.5本張りともいえる一本張り方式と通常張弦方式で交互に張った張弦方法。この方式はガヴォーやファツィオリにもみられる。なるべく弦を直線に張るための工夫が盛り込まれている。
さりげない装飾が施された脚。派手さは無いが落ち着いた品の良さがある。
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