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執筆者の写真西野 智也

【《ピアノを聴く動画》使用ピアノ紹介】第55回イースタイン(E.グリーグ)

更新日:2023年4月30日


モデル名:イースタイン(E.グリーグ) モデル名 150号(158㎝)

製造年:1968年製

製造国:宇都宮製

張弦方法:交差弦 通常張弦

フロント側:低音~中低音 アグラフ、次高音~高音 カポダストロバー

ピン仕様:総鉄骨

アクション仕様:シュワンダー型シングルスプリング

ペダル:2本

鍵盤:88鍵(白鍵:プラスチック 黒鍵:黒檀 )

外装:黒艶出し

動画URL:https://youtu.be/U2-OF1BcYvg (2023年3月1日公開予定) 撮影協力:東京ピアノマーケット


今回は珍品E.グリーグ印のイースタイン150号を収録してきました。 イースタインのグランドピアノは第3回の350号以来の登場ですが今回は150号の紹介になります。イースタインという会社は非常に興味深くグランドピアノは150号、250号、350号の3種類(創業直ぐの黎明期には同名の別モデルである250号が存在していた。)がラインナップしていましたが何れも設計が異なっています。250号は伝説の調律師であった杵淵直知氏が設計を手掛けた純国産モデル、350号はドイツのブリュートナーを手本に設計されています。今回取り上げる150号はかつてアメリカ・シカゴにあったピアノメーカーであるケーブル社が製作していたキングスバリーのモデルBB型ピアノを参考に設計されています。

基本的にメーカー内でこんなに出自の違うピアノ(イースタインはアップライトも同様に多様な設計のモデルが存在する。)が同時に存在しているのは世界的に見ても稀有であると言えます。皆さんの分かるメーカーで言うとカワイと、ボストン、ディアパソンがサイズの違うピアノとして同一ロゴで売られているのと同じような感じになります。

さてそんなイースタインの最小グランドである150号ですがその完成度の高さと『2畳あれば置ける』と謳ったそのコンパクトさが大いに受けイースタインの主力商品となります。

そんな売れ筋商品だったモデルに東京神田に店を構えていた老舗の楽器店クニユキピアノが自社ブランドのE.グリーグの名をつけて製造していてもらったものが今回の楽器になります。イースタインの150号は当時よく売れたと言われているようにピアノ探訪の中では割と見かけるピアノですが流石にE.グリーグのイースタインは今回が初見でした。

しかも今回の楽器はフルオリジナルの状態の貴重な一台となっており本来のイースタイン150号の音色や特性が分かる一台となっています。

以前にも何台かは150号を弾いていたのですがそれらはいづれも修復個体でした、非常にまとまりの良いピアノだと思っていたのですが今回オリジナル状態の150号を初めて弾いてみてアメリカンな元気のいいピアノという印象を受けました。音は非常に明るく軽くパワーもサイズに対して十分あり小型グランド特有の低音側の音量不足を感じることもありません。音質もしっとりではなくカラッとしておりジャズなんかにも合いそうな印象を受けました。

アクションは当時の国産ピアノとしては標準的なシュワンダー式のシングルスプリングのもので若干の重さと抵抗感を感じますが弾き難く感じるほどではないですし調整でどうにでもなる印象。ただしこの弾き心地に関しても大体この年代の国産ピアノはヤマハやカワイもモッサリした弾き心地の物が多いのでイースタイン特有の物というわけではないと思います。

超珍品E.グリーグ印の貴重なフルオリジナルのイースタイン150号十分に楽しませていただきました。


イースタイン

クニユキピアノのオリジナルブランドである『E.グリーグ』のプレートが奢られているが中身は正真正銘のイースタイン150号。ちなみに他にもフクヤマピアノのOEMであるフクヤマ&サンズのブランド名の150号も存在する。


イースタイン

当たり前だがイースタインの表記はどこにも見つけることは出来ないが見る人が見ればイースタインの150号そのものである。本家イースタインでもデカールやフレームのロゴの有無など製品でばらつきがあり、このピアノと同じようにまっさらな個体も存在する。


イースタイン

フレーム設計はアメリカシカゴにあるケーブル社が製造していた戦前のキングスベリーのモデルBBがコピー元と思われる。鉄骨形状やフレームの音抜き穴まで瓜二つである。


イースタイン

イースタイン150号の最大の特徴である円形支柱とテンションレゾネーター。この独特な支柱設計はイースタイン150号の鳴りの良さに一役買っているのは間違いないと思われる。


イースタイン

製造元不明だがシュワンダー式のシングルスプリングアクションはこの当時の国産ピアノとしては一般的なもの。


イースタイン

アクションに残された唯一のこのピアノの製造番号。イースタインと同じであれば本来は頭に製造月を表すアルファベット一文字が来るはずだがこのピアノにはそれが無い。この製造番号680705からは68年?月07日製造。そしてその日製造されたピアノで05番目のピアノということが示されている。


イースタイン

日本の老舗ピアノ販売店である国行ピアノの販売プレート。自社ブランドのピアノとしてE.グリーグの名でイースタイン以外にも六郷ピアノや富士楽器製などのモデルもある。

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