【《ピアノを聴く動画》使用ピアノ紹介】第59回アウグスト・フェアシュター
- 西野 智也
- 2023年6月29日
- 読了時間: 3分
モデル名:アウグスト・フェアシュター モデル名 モデル170(170㎝)
製造年:1988年製
製造国:ドイツ レーバウ製
張弦方法:総一本張り
フロント側:低音~中低音 アグラフ、次高音~高音 カポダストロバー
ピン仕様:総鉄骨
アクション仕様:ダブルスプリングアクション(フレミング製)
ペダル:3本
鍵盤:88鍵(白鍵:アクリル 黒鍵:黒檀 )
外装:艶消し白 ロココモデル
動画URL: https://youtu.be/2nRSINEihZM(2023年7月5日公開予定) 撮影協力:東京ピアノマーケット様
今回はアウグスト・フェアシュターのアートケースを収録してきました。 こちらの楽器は都内某所の豪邸から鑑定依頼があり出会った一台になります。 アウグスト・フェアシュターは個人的に最も大注目のピアノメーカーです。アウグスト自体の解説は第46回を読んでいただければと思います。 今回の一台はアウグストの現行モデル最小の一台になります。その華美な外装に目を奪われがちですが中身は非常に質実剛健な印象。 鑑定時に始めて弾いた時からその素晴らしいポテンシャルは目を見張るものがありましたが前オーナーの時はあまり弾かれていなかったようでアクションやペダルに不具合が出ていましたが東京ピアノマーケットで整備されて無事輝きを取り戻しました。 音は典型的なドイツピアノの骨太で温かい音色。特にメロディーを受け持つことが多い中音域の伸びが大変素晴らしくリート歌手のような趣があります。低音域は170㎝の小型ピアノのわりに充実しており高音部はいぶし銀のような艶を感じます。近年のヤマハやスタインウェイといったピアノの華美な音とは違く昔ながらのピアノの音ですがこういった音が大好きな方にはドンピシャの一台になると思います。 アクションはフレミング製のダブルスプリングのものが搭載されており調整途中ということもあり万全の状態ではありませんでしたがしっかり手を入れればしっとりしたタッチ感になりそうな印象を受けました。
東京ピアノマーケット様今回も素晴らしいピアノを楽しませて頂きました。

SNS映えマックスな一台。曲線を基調としたロココモデル。単体で見ると美しいのだがこれが似合う家は日本だと難しそうである。左の拍子木(鍵盤横の部分)が右に比べ非常に大きいのが分かる。これは低音弦の長さを稼ぐために弦の傾斜角を多めに取っているのが分かる。

小型グランドはいかに弦長を稼ぐかが各社設計の腕の見せ所となっている。オーガストの場合角度を付けて弦長を稼いでいる。フレームのその他の特徴としては音抜き穴が多くみられる。

総一本張りなのでピンは非常に多い。低音域~中音域がアグラフ、高音部がカポダストロバーと一般的な設計。

総一本張りなのが分かる。デュープレックススケール等は無くフェルトを貼って余計な音を作らないような設計なのが分かる。現代の楽器としては少数派である。

ダブルスプリングの一般的なアクション。

フレミング社製のアクション。

白いロココデザイン、縁取りに金塗装が奢られ豪華な見た目。猫足の三本足はペトロフ等でも見かけるが五本脚は珍しい。

曲線が基調のロココモデル。鍵盤蓋なども曲線が多用され柔らかい印象を受ける。

放射型の支柱に一本横に梁が入る支柱。
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