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執筆者の写真西野 智也

【《ピアノを聴く動画》使用ピアノ紹介】第6回シゲルカワイ

更新日:2020年10月13日

データ

モデル名:シゲルカワイ モデル名SK-5(200cm)

製造年:2014年頃

製造国:日本 浜松製

張弦方法:通常張弦 高音部デュープレックススケール

フロント側:低音~次高音 アグラフ、高音部 カポダストロバー

ピン仕様:総鉄骨

アクション仕様:エルツ式ダブルスプリングアクション(カワイ製)

ペダル:3本

鍵盤:88鍵(白鍵: 人工象牙  黒鍵: 人工黒檀 )

外装:黒艶(オリジナル塗装)


1999年にカワイのフラッグシップモデルとして登場したのがシゲルカワイ。

国産の数少ない手工芸ピアノとしてピアノ屋カワイ(ヤマハはピアノ屋とは到底言えない)が本気で造ったモデル、登場してすぐの頃から紹介をされて弾いていた。正直出てすぐの頃はイマイチ特徴のないピアノだったが2012年頃のモデルチェンジでキャラクターが出来上がったように思える。

今回は200㎝のモデルを千葉のカワイさんのご厚意により収録させていただくことが出来た、しっかりと整備されたピアノである程度慣らしが終わっている個体である。

まず鳴らしてみた第一の印象として音の立ち上がりが緩やかな箱が鳴りきるのにワンテンポあるように感じる、スタインウェイやヤマハの様なストレートな楽器に慣れていると若干シャープさに欠けるような印象を持つが客観的に聴くとかなりクリアな音が鳴っているのである、要するに演奏者にはあまり音が返ってこない楽器の様だ、これはベーゼンドルファーなんかもこのタイプの楽器になる。

音像が非常にシャープなのでシフトペダルを踏んでもボケず非常にクリアな演奏が可能になっている、個人的にはフランス音楽に相性が良い楽器だと思った。

また売りになっている独自のカーボンアクションであるがこれは好き嫌いが分かれそうなところではある、確かにカッチリ安定していて弾き易いのだが木製アクションと違いしなりが無いので本当に微々たる差だが指先への感触が通常のものとは異なるように感じる、これは最強音や最弱音を弾いたときに顕著に感じる。

総じてバランスの良い楽器なので新品でコストパフォーマンスが良いピアノを探しているのであればヤマハより遥かにおススメできる、ただ10年20年と楽器を弾きこんでいったときどういう成長を見せるか分からないのでそこは未知数である。

シゲルカワイ

非常にオーソドックスなルックスのピアノ、突上棒にロゴがワンポイント入っている。


シゲルカワイ

鉄骨形状はスタインウェイに似ている、響板と側板の間に共振防止用のロープが入れられている、内側の化粧板も良いものを使っている。


シゲルカワイ

デュープレックススケールが駒側とピン側両方についている、高音部は共鳴させ音を増幅させるような設計。


シゲルカワイ

カーボン製アクション、仕組み自体は平均的なエルツ式。木製パーツの変化を嫌い極力カーボンで仕立て上げられているが弾いた感触はやはり木製とは違うが弾き難くはない。


シゲルカワイ

産地不明だが自然乾燥を謳っている響板のロゴ、そもそも100年前までは木材は自然乾燥が当たり前だった、それが謳い文句になってしまうあたり今のピアノ作りの悲しい現状が見えてくるようである。

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