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執筆者の写真西野 智也

【《ピアノを聴く動画》使用ピアノ紹介】第60回ハンブルク・スタインウェイ

更新日:2023年8月1日


モデル名:スタインウェイ&サンズ モデル名 モデルO(180㎝)

製造年:1912年製

製造国:ドイツ ハンブルク製

張弦方法:通常張弦

フロント側:低音~中低音 アグラフ、次高音~高音 カポダストロバー

ピン仕様:総鉄骨

アクション仕様:ダブルスプリングアクション

ペダル:2本

鍵盤:88鍵(白鍵:象牙 黒鍵:黒檀 )

外装:ローズウッド ルイ15世モデル

動画URL:https://youtu.be/knf3I61W9AA (2023年7月5日公開予定) 撮影協力:ピアノプラザ群馬


今回は前回の『タローネ』と同じ場所でハンブルクスタインウェイのルイ15世モデルのアートケースを収録してきました。 第59回にしてようやく日本で一般の方にとって最も馴染みがあると思われるハンブルクスタインウェイのグランドピアノを紹介できます。しかも今回の一台は20世紀初期のスタインウェイ黄金期のアートケースというスペシャルな一台。 ルイ15世モデルは20世紀初頭に流行っていたピアノのデザインコンセプトの一つでルイ15世時代の建築や家具デザインがデザインベースとなっています。今回紹介するスタインウェイ以外にも各社が贅を尽くしたルイ15世モデルを作り各社が自社のデザイン力や木工などの技術力の宣伝に使用されていました。

そんな今回の一台ですがルイ15世モデルとしては真鍮製のモールや象嵌などが奢られたルイ15世モデルとしては特別な装飾の一台になります。ちなみに日本国内でもモールも簡素化され象嵌や透かし彫り譜面台の無いこれより幾分シンプルなカタログモデルのルイ15世モデルはたまに見かけることがあります。

さぁ見た目はともかく楽器にとって一番大事なのは『音』そのものです。この楽器はかなりの部分が当時のまま残っている古い楽器の宿命である響板の割れは裏から修復をして替えの効かないデカールを綺麗に残しているほど徹底ぶりである。

音はまさに古き良き時代のスタインウェイの音。現代のギラギラしたスタインウェイの音しか知らない人にはとても同じメーカのものとは思えないほどの違いです。迫力と繊細さ、重さと軽さ等相反する音成分が包含されており正に演奏者の力量次第でいかようにも変化するポテンシャルの高さは流石の一言。 アクションも流石の完成度を誇っており現代のピアノと遜色なく機能するどころかその繊細なタッチコントロールを実現させるための絶妙な軽やかな弾き心地は音量のために犠牲になった現代のピアノでは到底なしえないものです。

ピアノプラザ群馬様今回も目と耳で楽しめる最高の一台を収録する機会を頂きありがとうございました。


スタインウェイ

SNS映えマックスな一台。華美な装飾のピアノが最盛期の時代であった当時でもこれほど立派な装飾のピアノはなかなか無い。


スタインウェイ

フレームの形状は現代でも共通の物。この時代にこの形をつくりあげていたスタインウェイは正に他メーカーより一時代も二時代も進んでいた。


スタインウェイ

今となってはオーソドックスなフレームのフロント部。倍音を生み出すために様々な工夫が見て取れる。


スタインウェイ

デュープレックススケールが設けられており響きの増強に一役買っている。フレームロゴがニューヨーク製の意匠になっており特注のモデルはフレームがニューヨークで作られていることが分かる。


スタインウェイ

オリジナルの響板デカール。修理時に剥がされてしまっているものが少なくない中このピアノはデカールを完全に残すために裏側から響板修理を行っている。


スタインウェイ

美しい脚とケースの縁に象嵌。


スタインウェイ

ありとあらゆる所に贅が尽くされている。これらすべてが職人の手作業で作られている。



スタインウェイ

アートケースは置いとくだけでも目を楽しませてくれる。


スタインウェイ

アラベスク模様のリラ型のペダル。これも当然手作業で彫られている。そして二本ペダルと真鍮プレート無しのペダルボックスがこのピアノがハンブルク製であることの証拠になっている。

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