データ
モデル名:シュベスター モデル名G60(183cm)
製造年:1961年頃
製造国:日本 蒲田製
張弦方法:通常張弦 中音~高音部デュープレックススケール
フロント側:低音~次高音 アグラフ、高音部 カポダストロバー
ピン仕様:総鉄骨
アクション仕様:エルツ式ダブルスプリングアクション(レンナー製)
ペダル:2本
鍵盤:88鍵(白鍵: アクリル 黒鍵: 黒檀 )
外装:黒艶(再塗装)
自分が出演している幕張のレストラン用に選定した一台。
シュベスターは国産手造りピアノの最後の砦として浜松に工房を構えるメーカーである、しかしながら材料の木材の入手難と鋳物を作れる職人がいなくなってしまい現在グランドピアノを新たに作るのは難しいようである。
実はシュベスターのグランドはこの楽器が初対面、ぱっと見でスタインウェイのO型を手本にして作られた楽器だということがフレーム形状から分かりました。
古い国産手造りピアノの外国製コピーが侮れないことは以前のイースタインや我が家のゲール・アポロで身をもって体験している身としては期待が膨らむ。
とりあえず弾いてまず思ったのは『見た目は似ているが音は全然スタインウェイじゃないぞ』でした。音が非常に円やかでイメージとしては往年の正統派ドイツピアノっといった印象を受けました、特に高音部は特筆すべき美しさで近年流行りの金属的な音量重視ではなくまるで棘の無い柔軟で伸びやかな音がします、往年のスタインウェイ的な音で鳴りは流石に勝てませんが音色はほぼ遜色ない印象です。
アクションは古い国産小型機種特有の若干の鈍さと重さがありますが許容範囲。
こういったマイナー国産手造りピアノは現在投げ売りと言えるような価格で取引されていますこの楽器もそうでした、日本の多くのピアノ弾きがブランドや値段に惑わされることなくこういった真に価値のある一台に気づいて欲しいものです。
正にスタインウェイそのものといった設計、フレームのロゴマーク位置やデザインまで瓜二つである、ぱっと見の違いはフレームと側板の間の共振止めくらいだろうか。
浜松に移転する前の蒲田製楽器の証、TOKYOの文字が燦然と輝く、これより古い創業時のものになるとシュベスター表記ではなく協信社と表記されているがかなり稀少。
シュベースターの響板は古い国産ピアノの定番エゾ松で造られている柾目も密で非常にきれいである、現在はエゾ松の減少に伴いほとんど使われることは無い。
シュベスターの製造番号は特殊で最初の二桁36が年式を表している、この場合昭和36年(1961年)式である。
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