【ピアノ演奏温故知新】第4回アルフレッド・コルトー
- 西野 智也
- 2020年10月23日
- 読了時間: 3分
更新日:2021年8月24日
【ピアノ演奏温故知新】では過去の偉大なるピアニストとその奇跡的なピアノ演奏を数多くご紹介していきます。
第4回はフランスが誇る最高のピアニストで教育者でもあった『アルフレッド・コルトー』をご紹介します。
アルフレッド・コルトー(1877~1962)

略歴
1877年フランス国境に近いスイスのニヨンに生まれる。
幼少期にふたりの姉からピアノのてほどきを受ける。パリ音楽院予備科でショパン晩年の弟子の一人であるエミール・デコムにピアノを習う。
高等科でフランスを代表する名教授ルイ・ディエメのクラスに入門。
1896~1897年バイロイト音楽祭の助手を務める。
1902年頃からピアニストの活動の傍ら指揮者としても活動を行う。
1907年にパリ音楽院の教授職に就く。
1919年オーギュスト・マンジョとともにエコールノルマル音楽院を設立し積極的にマスタークラスを受け持つ。翌年パリ音楽院での教授職を辞任。
第二次大戦時にフランスのヴィシー政権との関りや戦後ナチスの前で演奏した影響によりパリ国内で干されて演奏の場を完全に失ってしまう。
1962年スイスのローザンヌで死去(享年84歳)
コルトーのお洒落な名演
ショパン:ワルツ No.5~No.9
演奏スタイル
コルトーの演奏は非常に軽妙洒脱でいかにもフランス的です。
非常に詩的で自然なテンポルバートとそれを支える軽く美しい音色、晩年の演奏では機械的な技術の衰えは隠せなかったもののコルトーならではの非常に幻想的な音楽は健在であった。あるピアニストが語った『コルトーのミスタッチは私が弾いた正しい音よりも美しく響く』は言い得て妙である。
コルトーはミスタッチを減らすことより理想とする音楽を演奏することだけに注力していたとも言えます、現役のピアニストでショパンの前奏曲をコルトーと同じ猛烈なテンポであの軽妙な音でウィットに富んだルバートを操れるピアニストを私は一人も知りません。
コルトーの演奏は常に新鮮な驚きと甘美な幻想を与えてくれます。
コルトーの編曲による超名演
バッハ=コルトー:アリオーソ
同時代の人物による評価
セルジュ・ゲンスブール(作曲家/作詞家/歌手/俳優)
『コルトーは単にショパンに関して最高のピアニストであっただけではない。彼は楽譜を通じて、その魂を解読したのだ。』
マグダ・タリアフェロ(ピアニスト)
『彼の音は真に魅惑的でした。彼は幻想的なイメージを私たちに想起させるのです。』
ハロルド・ショーンバーグ(音楽評論家)
『演奏のキレ、強い個性、メロディーの明瞭さ、本物のルバート、そして純粋な知性』
アルフレッド・コルトーの門下生
ディヌ・リパッティ、サンソン・フランソワ、クララ・ハスキル、エリック・ハイドシェク、マグダ・タリアフェロ、遠山慶子etc...
『子供の領分』をイメージした短編映画、本人も少し登場します
ドビュッシー:子供の領分
(使用ピアノはプレイエル)
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