この記事ではよく聞かれる『●●の作曲家はどこの出版社の楽譜を買えばいいですか?』を独断で紹介します。楽譜購入の際の参考にしてください。
第5回はフランスを代表する作曲家ドビュッシーを紹介!
※楽譜の画像をクリックすると販売ページに飛べるので価格チェックなどにお使いください。(一部在庫の無い楽譜はリンク無し。)
音楽之友社版(安川版)
おすすめ度:★★★★☆
価格 :★★★★★
網羅性 :★★★★☆
解説 :★★★★☆
運指 :★★★★☆
入手性 :★★★★★
日本ではお馴染みの安川版。完全な全集ではないですが主要作品は揃います。
全般的にバランスの取れた楽譜でアマチュアの方が弾くならオススメできます。特にドビュッシー特有のフランス語の楽語の日本語解説は便利です。
運指は日本人に合ったもので手の分配などに工夫が見られ中々実用的です。ただし校訂者の解釈による追記が多く安川さんの考えるドビュッシーという雰囲気が強いです。
専門的に勉強するのであれば後述の原典版楽譜の方がオススメできます。
デュラン版
おすすめ度:★★★☆☆
価格 :★★☆☆☆
網羅性 :★★★★★
解説 :★★★☆☆
運指 :★☆☆☆☆
入手性 :★★★☆☆
現在ドビュッシーの全作品を手に入れるならこの出版社以外の選択肢はありません。遺作から死後発見された作品まで全て網羅しています。
以前は印刷が悪く誤植も多く製本も粗くさらに値段も高いと劣悪楽譜の代名詞だったデュラン版ですが近年のものは大分改善されたようです。
肝心の中身ですが真っ当な原典版です、しかし運指が全く無いのでベースの楽譜としては非常に使いやすいですが初心者にはオススメしません。運指を自分で考える専門家向けの楽譜です。
ベーレンライター版
おすすめ度:★★★★★
価格 :★★★☆☆
網羅性 :★★☆☆☆
解説 :★★★★★
運指 :★★★★☆
入手性 :★★★☆☆
個人的に今一番愛用している楽譜で現在最も新しいドビュッシー研究に基づく原典版です。充実の解説に堅実な運指、見やすい譜面に使いやすい譜割りと安定のベーレンライター品質です。
ただし現在出版が進行中なので曲の網羅性が現時点では悪いです。欲しい曲の譜面が出版されていれば迷わずおすすめします。
解説は英、仏、独の三か国語のみです。一応フランス語の楽語の英訳とドイツ語訳が載っているのも地味に便利です。
ヘンレ版
おすすめ度:★★★☆☆
価格 :★★★☆☆
網羅性 :★★★★☆
解説 :★★★☆☆
運指 :★★★☆☆
入手性 :★★★☆☆
安定のヘンレ版です。これと言って取り上げる特徴も無いのですが品質は非常に安定しています。
解説も過不足なく運指も独自性はありませんがオーソドックス。
しかしベーレンライター版やデュラン版、安川版に対する大きなアドヴァンテージは無いように感じます。
ヘンレ版マニアでもなければ敢えてドビュッシーでヘンレ版を選択する意味はありません。
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